ウルムチ虐殺14周年に際しての抗議声明
中国人への同化や強制労働の目的で東トルキスタンから中国本土各地へ強制移送されたウイグル人の若者たちが、移送先で差別や虐待を受け、更には中国人市民らに無差別に襲撃され殺害される事件が起きたこと(2009年6月26日広東省韶関市の工場で発生した6.26事件)へ抗議し、2009年7月5日、東トルキスタンのウルムチ市でウイグル人大学生らを中心とした平和的なデモ行進がありました。
デモ行進を行った大学生らは、「6.26事件」でウイグル人に対する無差別襲撃を行った中国人らが罪に問われることもなく、政府側から何の正式な見解もないまま放置されたことについて説明と公正な法の裁きを求めていました。
しかし、デモが始まって間もなく、中国当局は「6.26事件」を説明するどころか、武装警察や軍隊を動員し武力で解散させようとしたため、平和的なデモが衝突へ発展してしまいました。武装警察や軍隊が直ぐに学生らに発砲し、抗議デモが残酷に鎮圧され、数千人ものデモ参加者が銃殺され、無差別に拘束された数万人もの人々が行方不明となりました。
このウルムチ虐殺事件から14年が経ちました。
その後もウイグル人に対する非人道的扱いが激しさを増す一方です。300万人を超える罪の無いウイグル人らの強制収容、大規模な不妊手術の強制キャンペーン等、ウイグル人社会を滅ぼす意図を持った非人道的犯罪行為が国策として実施されているのです。私たち日本在住のウイグル人たちも、家族との連絡も取れず、故郷に帰ることもできない状態が続いています。親の安否が気になり危険を冒して一時帰国した在日ウイグル人女性は、帰国後に収容され、死亡した事例も確認されています。
ウイグルで起こっている悪夢を終わらせるために、国際社会が相次いでこれを国際法上犯罪となるジェノサイドと認定し、責任を負わせる取り組みを進めています。2023年7月現在、11の議会(米国、英国、フランス、カナダ、ベルギー、オランダ、チェコ、アイルランド、リトアニア、台湾、そして、欧州議会)と一つの政府(米国)が、ウイグル人に対して犯されている犯罪をジェノサイド(特定の民族などの集団を破壊する目的で行われる集団殺害、およびそれに準ずる行為)や人道に対する罪に該当すると公式に認めています。2022年8月、国連人権高等弁務官事務所が報告書を発表し、ウイグル人に対する人権侵害は人道に対する罪を構成すると認めました。2022年11月、国連人権委員会が中国に対し、拘束されたウイグル人の解放を求め、被害者に「救済と賠償」を提供するよう勧告しました。
残念ながらウイグルジェノサイドは依然として続いています。ウイグル人の強制労働で作られた製品の輸入や、ウイグル人の人権侵害へ悪用される監視技術の輸出等、先進国がこれらの犯罪行為を助長する側面も続いています。中国がウイグル人らを滅ぼすのを世界が放置すれば、その暴挙モデルが輸出され、周辺地域や全世界にとって大きな脅威となるのは間違いないでしょう。
私たちは、中国当局がウルムチ事件当日とその後の無差別拘束で犠牲になった全ての尊い命の責任を負うことを求めます。そして、現在進行中のウイグル人に対するジェノサイドを直ちに止め、国際的な調査団を受け入れるよう求めます。
2023年7月5日
日本ウイグル協会