ウイグル人活動家の息子が拷問を受けている

アムネスティ・インターナショナル
国際事務局配信日:2010.12.20 | 翻訳・掲載:2011.01.05

ウイグル人活動家ラビヤ・カーディルの息子で自身も良心の囚人であるアブリキム・アブディリイムが中国の新疆ウイグル自治区の刑務所で拷問を受けていると家族が訴えている。11月3日に隔離拘禁されて以来、彼の健康は悪化しており、家族は彼の健康を非常に心配している。

アブリキム・アブディリイムの親族が12月13日に彼に面会したとき、彼は拷問され、隔離拘禁されていると語った。彼は、刑務所当局が隠しておきたいことを目撃したときから隔離拘禁されていると言った。彼が見たことを否定する文書にサインを求められたが断ったと述べた。

親族によれば、アブリキム・アブディリイムは衰弱していた。親族は彼の様子を心配しており、目にクマがあったと言っている。

アブリキム・アブディリイムは2007年4月に、インターネットの書き込みで「分離主義者の活動を先導し、従事した」罪で8年の刑の判決を受けた。国営メディアは、裁判において彼の法的権利は尊重され、彼の裁判については3日前に公表され、彼自身が罪を認めていると報じた。しかしながら、彼の家族は、彼が自分の選定した弁護士に依頼することを許されず、裁判について事前には知らされず、「自白」なるものはすべて拷問で引き出されたものであると主張している。

背景情報
アブリキム・アブディリイムは、最初に逮捕された2006年6月から18カ月間家族と連絡がとれなかった。2007年12月6日に初めて実現した新疆の首都ウルムチの郊外にある八家戸刑務所への15分間の面会時に、親族は彼が非常に青ざめていて衰弱しており、彼らのことをわからなかったと言っている。彼は、しばしば気を失い、刑務所で2回昏睡に陥ったと語った。刑務所当局に親族が彼の健康状態について質問したところ、心臓に関連して症状が起きると言い、彼がいつまでも「協力」を拒んだり、「罪を認める」ことを拒否つづければ状態はもっと悪くなるだろうと述べた。

中国は1988年の国連拷問等禁止条約を批准しているにも関わらず、拷問やその他の虐待があらゆる種類の拘禁所で疫病のようにはびこっている。また、アムネスティは、刑務所、労働教養所、警察の拘置所などを含むさまざまな国家施設で発生した拘禁中の死亡の情報をたびたび受けている。その多くは拷問の結果である。

当局は、中国刑法に規定されている公式の拷問禁止を補強する多くの規定を発している。しかし、禁止される行為は限定的であり、国際的な基準からは不十分なものである。中国刑法第247条及び第248条にはいくつかの拷問禁止と関連した違法行為が規定されているが、実際にはこれらは状況、場所などをはじめとする条件のために限定的な範囲の公務員にしか適用されない。拷問に関する犯罪を捜査し起訴する検察当局もまた、取り上げるケースの基準を設けていて、それでさらにこれらの法規の適用は狭められる。

中国当局は、しばしば、ウイグル民族のアイデンティティを表明しただけで「分離主義者」あるいは「宗教過激派」というレッテルを貼っており、1990年代半ばからこれら、いわゆる「三つの勢力」に対する激しいキャンペーンを展開している。このため、多くのウイグル人が恣意的に投獄され、良心の囚人として捕らえられている。アメリカの9・11事件以降、状況はさらに悪化し、中国当局は世界的な「テロとの戦い」をウイグル人に対する過酷な抑圧の口実としている。

ラビヤ・カーディルの家族は、彼女が1999年に初めて良心の囚人として投獄されたととき以来、当局からたびたび標的とされてきた。このことは、ラビヤ・カーディルが2005年11月27日に医療行為のために保釈されてアメリカに出国してから、一層、激しくなった。ラビヤ・カーディルは、ウイグル人コミュニティに加わったり、公に「微妙な問題」について発言すれば、「彼女のビジネスや子どもたちはおしまいだ」と警告されたと述べている。ラビヤ・カーディルが世界ウイグル会議総裁(WUC)に選出された翌日の2006年11月27日、裁判所で彼女の2人の息子、アリム・アブディリイムとカハル・アブディリイムが、脱税の罪で数百万米ドルの罰金を科されたたうえ、アリムが7年の懲役刑を宣告された。その上、4月初めには中国当局はカーディル一家の資産を査察してカーディル家のビジネスを破産させる手続きを開始したと伝えられている。

2009年7月5日、一人の警察官がウルムチで平和的なデモに対して厳重な取り締まりを行ったことから大規模な暴動に発展した。中国当局は、数時間以内に、彼らのことばによれば「周到に準備された暴力行為」の背後には世界ウイグル会議とラビヤ・カーディルなどの海外のウイグル人組織がいると非難した。ラビヤ・カーディルは、これを否定している。

ウイグル人たちのデモは、中国南部の広東州においてウイグル人労働者たちが殺された事件を警察がなにも捜査しないことに対して起きたものであった。事件は中国当局のウイグル人社会に対する積年の抑圧と差別に対する反発を背景として起きたものであった。当局は、7月5日の暴動で197人が死亡したと発表した。これらの死者には、134人の漢人、11人の回民、11人のウイグル人、1人の満人を含む156人の「無関係な人びと」が含まれると述べた。この騒乱の目撃者に対するアムネスティのインタビューの結果は、治安当局の側の過剰な実力行使がさらに数百人のウイグル人の死者を出した可能性があることを示唆している。

英語、中国語または日本語で、直ちに以下の内容の手紙を書いてください。
・ 当局にアブリキム・アブディリイムを直ちに無条件で釈放するよう求める
・ 当局にアブリキム・アブディリイムが拷問や虐待を受けないよう保証するよう求める
・ 彼が申し立てた拷問と虐待について完全で独立かつ公平な調査を行い、責任のある者たちを国際基準を満たした裁判にかけることを求める
・ 彼が家族、弁護士に面会をさせ、彼に必要な治療を施すことを保証するよう求める

2011年1月31日までに下記宛にアピール分を送ってください。

宛先
刑務所長
Prison Governor
Jianyuzhang
Xinjiang Weiwuer Zizhiqu di si jianyu
Kashidonglu
Wulumuqi 830013
Xinjiang Weiwuer Zizhiqu
People’s Republic of China
Salutation: Dear Prison Governor

Chairman of the Xinjiang Uighur Autonomous Regional People’s Government
Nur BEKRI Zhuxi
Xinjiang Weiwuer Zizhiqu Renmin Zhengfu Bangongting
2 Zhongshanlu, Urumqi 830041
Xinjiang Weiwuer Zizhiqu
People’s Republic of China
Fax: +86 991 2817567 or 2803621
Email: [email protected]
Salutation: Dear Chairman

コピーの宛先
Premier of the People’s Republic of China
WEN Jiabao Guojia Zongli
The State Council General Office
2 Fuyoujie, Xichengqu
Beijingshi 100017
People’s Republic of China
Fax: +86 10 65961109 (c/o Ministry of Foreign Affairs)
Salutation: Your Excellency

〒106-0046 東京都港区元麻布3-4-33
程永華駐日中国大使

Dear Prison Governer,

I am very concerned about the health of Ablikim Abdiriyim who is held in the prison in the Xinjiang Uighur Autonomous Region. He is reported to have been toutured. His famly is cencernd for his well-beeing.

I call on the authorities to release Ablikim Abdiryim immediately and unconditionally.

I also urge the authorities to guarantee that Ablikim Abdiriyim is not tortured or otherwise ill-treated.

I call on the authorities to initiate a full, independent and impartial investigation into allegations that he has been tortured or ill-treated and ensure that anyone responsible for torture or ill-treatment is brought to justice in accordance with international standards.

Please ensure that he is allowed access to his family, lawyer and any medical treatment that he may require.

Sincerely yours,

http://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=3569