ウイグル女性、帰郷後に音信不通 中国拘束か、兄が解放訴え

ウイグル女性、帰郷後に音信不通 中国拘束か、兄が解放訴え

静岡新聞 2023/2/4

中国新疆ウイグル自治区出身で河北省の大学に通う女性が昨年12月に帰郷した後、音信不通になり、米国在住の兄が「中国当局に拘束された」として解放を訴えている。女性は交流サイト(SNS)で新型コロナウイルス感染を徹底的に抑え込む中国政府の「ゼロコロナ」政策に関する投稿をしており、兄は「それが背景」と主張している。
女性は自治区アルトゥシュ出身のカミレ・ワイットさん(19)。NPO法人「日本ウイグル協会」(東京)を通じオンライン取材に応じた兄ケウセル・ワイットさん(26)によると、毎日のように更新されていたカミレさんの中国の通信アプリ「微信(ウィーチャット)」への投稿が昨年12月、突然途切れたという。
それを不審に思い、中国国内の親族や友人に連絡を取ったところ、帰郷した際に中国当局に拘束されたとみられることが分かったとしている。
「ゼロコロナ」政策を巡っては、自治区ウルムチで昨年11月に発生した10人死亡の火災で、コロナの規制で救助が遅れたとの見方が広がったことなどを契機に、中国各地で抗議デモが拡大した。
ケウセルさんによると、カミレさんは火災の犠牲者に連帯を示すような投稿をしていた。地元当局から父親にカミレさんの投稿に関する問い合わせがあり、投稿が問題視されたと指摘した。
ケウセルさんは、中国各地で起きた抗議デモでは「漢族ですら大勢が拘束された。虐げられてきたウイグル族の妹はどうなるのか」と懸念を表明。ツイッターに解放を求めるビデオ動画を投稿し「中国政府に訴えるだけではなく、国際社会にも拡散したい」と話した。