ウイグル火災「犠牲者10人」…実は44人と主張 在日ウイグル人が中国大使館前で抗議活動

ウイグル火災「犠牲者10人」…実は44人と主張 在日ウイグル人が中国大使館前で抗議活動

中国・新疆(しんきょう)ウイグル自治区ウルムチ市で11月24日夜に発生した高層住宅火災の犠牲者数は、中国メディアが報じた10人を大きく上回り44人にのぼるとして、在日ウイグル人らによる「日本ウイグル協会」(東京都文京区)は12月2日、東京・元麻布の中国大使館前で真相究明とウイグル人への人権弾圧の停止を求める抗議活動を行った。

日本ウイグル協会が現地の病院関係者らから得た情報によると、この火災で100人以上が搬送され、うち44人が亡くなったという。一方、中国メディアは10人が死亡、9人が負傷したとしている。

火災は鎮火までに数時間を要したとされ、中国当局の厳格な「ゼロコロナ」政策に伴う都市封鎖で消火活動が遅れたとの見方がある。遺族らは犠牲者の写真をSNSなどで次々に公開。これを受けて世界各地で追悼と抗議の動きが広がっている。

東京での抗議活動は2日午前10時半から約1時間実施。大使館の正門前に並んで「(火災があった高層住宅の)管理人はゼロコロナ政策に反するという理由で、住民を外へ避難させることを拒んだ。『扉を開けてくれ』という叫びは、犠牲者の最期の言葉となった。人命よりコロナ政策を優先し、多くの命が奪われる惨事となった」とする同協会の声明を読み上げた。

参加した40代のウイグル人男性は、火災被害の実態について「中国政府と(地元の)ウイグル人の認識には大きな隔たりがある」と語った。別の50代のウイグル人男性も「ゼロコロナ政策で外に避難できなかった。我慢が限界に達している」と述べ、人権を軽んじる政策が被害の拡大につながったと指摘。「日本の皆さん、ウイグルの状況に注目して助けてください」と訴えた。

抗議活動では、中国当局によるウイグル人への人権弾圧をめぐり「収容所に収監された父と連絡がとれない」「千葉大で学び、帰郷後に行方不明になっている兄と会いたい」など、連絡が数年間途絶えている家族を案じる人たちもいた。また上海出身の漢族の女性(50)も駆け付け、「政府には正確な情報公開を求めたい」と語った。