人口問題(大量移民・強制中絶・故郷追放)

中国政府は、ウイグル人の言語・歴史・文化・宗教を徹底して弾圧し、ウイグル文化やウイグル民族そのものを完全に抹殺しょうとしている。ウイグルの民族アイデンティティを否定する民族浄化政策の結果、シルクロードの主な文化を作り上げたウイグ ル人は今や絶滅に瀕している。

中国人(漢人)移民の大量入植

現在、ウイグルの完全同化を現実にするために、数百万人もの漢人移民が東トルキスタンに入植している。1949年以前は、東トルキスタンで漢人が20万人ほどしかいなかった。しかも、満州(清)の時代やその後の軍閥らとの戦いの時代に東トルキスタンに流れてきた軍人や軍人の家族がその大半を占めており、一般の漢人市民はほとんどいなかった。(清の侵略以前は全くいなかった。)

しかし、中国の最近の統計によると、東トルキスタンでの漢人の数が今では700万人を超えており、60年間の占領期間で30倍以上も増えている。実際には、この数字をはるかに上回る数の漢人が今の東トルキスタンにいると考えられている。1949年には東トルキスタンの総人口の5%も占めていなかった漢人は、今では40%以上を占めるようになった。一方で、1949年の占領以前に東トルキスタン総人口の80%以上を占めていたウイグル人は、今では50%以下を占めるようになり、自らの国土で少数派に転落する傾向にある。 

ウイグル人の人口抑制

毎年、25万人ほどの漢人移民が中国本土各地から東トルキスタンに入植し続けている。中国本土で「計画生育(一人っ子政策)」の制限を受けていたのと違って、東トルキスタンに入植してきた漢人移民がより多くの子供を作ることが許されている。それと同時に、ウイグル人の人口の増加を抑制するために、ウイグルの女性たちに対する強制中絶(たとえ妊娠九ヵ月であっても)が厳しく実施されている。それが原因で母子が死亡したり、長期にわたって病気に苦しまされたりする悲惨な例も少なくない。2005年1月、ウイグル自治区トップのイスマイルという人物はある会議で、「ウイグル自治区で「計画生育」を実施して、15年間で300万人の子供 - もちろん生まれるはずの300万人の子供 - が生まれてこなかった。私たちのこの政策は大成功した」と述べているほどである。

ウイグル人の故郷追放

自らの国土で少数派に転落する傾向にあるウイグル人は、最近さらなる人口減少へと誘導されつつある。東トルキスタン南部のウイグル人集中居住区から政権の強制力によって15歳から25歳の結婚適齢期の未婚のウイグル人女性を年間数万人単位で計画・組織的に中国本土各地に強制的に移住させているからだ。「ウイグルで就職できない人々に内陸で職を与える」というのが政府の言い分ではあるが、その一方で毎日のように内陸から大量の漢人移民を移住させ、政府が自ら数々の支援策を提供しウイグルで就職させているわけだから、ウイグルで職がないはずがない。自治区政府から村の役所まで人事権を含む主な権力を握っている実力者のほとんどが漢人であるため、ウイグル人に限って就職の機会から意図的に外されているのが現実である。

一人っ子政策のために、中国の親たちは堕胎や産み分けで男児を選びがちだ。その結果、適齢期の男性数千万人が結婚できない事態に陥る傾向にある。強制的に移住させられているウイグルの女性たちは、移住先で漢人労働者に比べて何倍も安い信じ難い低賃金と過酷な労働条件と厳重な監視の下で働かされている。中国政府の真の狙いは、未来のウイグルの母となる人々を真っ先に民族同化・民族浄化政策のターゲットにすることであり、ウイグルの女性たちは、安価な労働力だけではなく漢人男性の伴侶の供給源になってしまう恐れもある。そして、このまま続けば近い将来ウイグルの人口バランスが著しく崩れてしまう恐れもある。中世時代の奴隷貿易を連想させるこの問題は、まさに民族の存亡にかかわる最も深刻な問題の一つとなっている。

ウイグル人の人口抑制より中国人(漢人)移民の入植の停止を!

ついでに言っておかなければならないのは、ウイグル人がより多くの子供を作れること(法律上は一応、一人っ子政策の対象にされている漢人に比べて一人の子供を多く作ることが認められていること)について「優遇策」や「政府・共産党のお陰」などの主張をするのは全く馬鹿馬鹿しい話であり、「子供は必要に応じて自由に産む」という神様から与えられた当然の権利に対する侮辱的な主張である。

そもそも東トルキスタンで人口問題が発生する第一(そして唯一)の原因は中国本土から大量の漢人移民が入植してきたことである。自らの祖国において、ウイグル人の人口は決して問題になるほどの人口ではないし、地球の人口問題にリスクを与えるほどの人口でもない。漢人の人口が多すぎて自らの国土に入り切れなくなっているのであれば、それは漢人と中国本土の問題であり、その責任をウイグル人又は東トルキスタンに押し付け、「ウイグル人の人口の増加を犠牲にし、自らの国土に入り切れなかった大量の漢人移民の面倒を見てください」と強制するのはどう考えてもおかしい話である。ウイグル人の人口の増加を抑制し、ウイグル人に強制中絶や故郷追放を強制するより漢人移民の入植を停止するのが先決であるはずだ!

【関連記事】