当局は、拘禁したウイグル人の子どもたちの所在を明らかにするべき

アムネスティ・インターナショナル
国際事務局配信日:2012.01.06 | 翻訳・掲載:2012.01.13

2011年12月28日、新疆ウイグル自治区のホタン(和田)で、警官とウイグル人との間で激しい衝突があり、ウイグル人の子ども少なくとも5人が拘束された。彼らの所在を、中国当局は明らかにしなければならない。

中国政府筋は、中国西部の国境を違法に越境しようとしたウイグル民族のグループのうち7人が殺害され、4人が負傷し、他の4人が拘禁されたと伝えた。また、地元公安局副局長も、この衝突の最中に刺し殺されたと伝えた。

ラジオ・フリー・アジア(RFA)に語った地元消息筋によれば、このグループの7歳から17歳までの少なくとも5人の子どもたちが、行方不明のままだという。子どもたちは当局に拘禁され、このうち何人かは重症を負っているものと考えられている。

国営通信新華社は、新疆の地方当局者の言葉を引用し、「『凶暴なテロリスト』のグループが人里離れたホータン(和田)地区グマ(皮山)県で2人を誘拐し……、『逮捕に抵抗した』ため、警察は誘拐犯らを射殺した」と報道した。
当局はこの事件に対応し、地元ウイグル人社会を徹底捜索したと伝えられる。この報道によれば、ウイグル村民30人以上が拘禁され、その中には、事件関係者の遠い親戚までが含まれている。

「公式な説明によれば、人びとが『逮捕に抵抗した』ために殺されたということですが、これでは結局7人がどのようにして射殺され、他にも多くの人びとが負傷したのかについて、十分に答えたとはいえません」 とアムネスティ・インターナショナルのアジア太平洋部長サム・ザリフィは述べた。

「たとえ容疑者が警察に暴力を行使したとしても、この事件で殺害されたり負傷したりした人びとの数を考えると、これは国連のガイドラインに反して、不必要な致命的武力の行使があったのではないかという深刻な疑問を提起しています」と続けた。

今回の事件に関係するウイグルの人びとに近い関係にある消息筋に取材したRFAは、該当のグループは中国政府による宗教弾圧から逃れようとしていたと報じている。

殺された7人のうちの2人が女性で、17歳以下の子どもたち少なくとも5人がグループに同行していたと伝えられている。

拘禁されたうちのひとりは、おそらく衝突の最中に怪我をした7歳の子どもと思われる。

地元住民は、拘禁された中に9歳の子どももいると考えており、別にも負傷して拘禁されている中のひとりは17歳だと、ある警官が認めたと伝えられている。

「中国当局は行方不明の子どもたちの所在と健康状態を明らかにし、必要があればただちに医療措置を受けられるようにしなければなりません」とサム・ザリフィは述べ、

「中国は子どもの権利条約の締約国であり、子どもたちの拘禁に関しては、最後の手段として、かつ可能な限り最も短い期間のみ用いることを保証しなければならないという基準を順守する義務があります」と続けた。

RFAによれば、このグループが違法に国外逃亡をしようとした際に、グループが山中で止められ、そのうちのひとりの女性を公安局副局長が乱暴に捕まえたため、これがきっかけとなって衝突になったと、警官などいくつかの地元消息筋が語ったという。

中国の統制に不満を持つウイグル民族による権威への脅威だと見なした状況に対し、当局は規制や抑圧を強化することで対処してきた。

地元当局者によれば、こうした対処には「宗教的過激主義の弾圧」も含まれているとしている。

中国政府は繰り返し「三勢力」、つまり「テロリズム、分離主義、宗教的過激主義」、の概念を通じてウイグルの文化的および宗教的慣習を「テロリズム」に結び付けようとしている。

公式の数字によれば、2009年7月、197人が死亡し1400人以上が拘禁された、当初平和的な抗議から始まったウルムチでの暴動勃発以降、弾圧が強まった。

中国の大学で教育を受けた、標準中国語に堪能なウイグル人を含め、どのウイグル人も厳しい雇用差別について訴えている。

ウイグルのウェブサイト管理者たちは、自らのサイトに抗議に関する投稿を許したことを理由に長期間投獄されている。

表現や結社、宗教の自由の権利を行使したことを理由に、多くのウイグル人が「分裂主義」や「分離主義の扇動」の罪に問われて恣意的に拘禁され、投獄されている。

アムネスティ発表国際ニュース
2012年1月6日

http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=1039