深刻な病状のウイグル人の釈放要求

アムネスティ・インターナショナル
国際事務局配信日:2011.03.10 | 翻訳・掲載:2011.04.13

ウイグル人のメメット・エリ・ロジが、中国の新疆ウイグル自治区(XUAR)の刑務所で深刻な病状にあると言われている。ロジは、2010年3月から起訴や裁判なしに拘禁されている。

メメット・エリ・ロジ(Memet Eli Rozi)は、2009年に交通事故のために腕に挿入した3枚の金属プレートを取り出すよう、これまで3回要求した。このプレートは、2010年2月に取り出されるべきものだったようである。メメットの妻は、2月28日に拘禁施設を訪問したが、メメットとの面会は許可されなかった。妻が自由アジア放送(ラジオ・フリー・アジアという短波ラジオ放送局)に語ったところによると、拘禁施設の職員が、施設を訪問した妻に、メメットがプレートを取り出す要求を複数回行ったが、いずれも拒否されたことを認めたという。また、メメットの腕が現在ひどい炎症を起こし、深刻な病状にあることも認めたという。

自由アジア放送が拘禁施設職員に行ったインタビューによると、「メメット・エリ・ロジは、この2週間眠れていない」とのことである。

メメット・エリ・ロジは、2009年に中国から脱出した。メメットは、2009年12月にウイグル人22人のグループで中国を脱出し、カンボジアに避難しようとしたが、カンボジア政府は、2009年12月19日に22人のうち20人を強制送還した。メメットは、ラオスに逃れ、そこで中国から来た妻と5人の子供に合流した。しかし、メメットたちはラオス警察に捕まり、2010年3月に中国に送還された。それ以降、メメットは拘禁されているが、起訴も裁判も有罪判決もない。メメットは現在、新疆ウイグル自治区カシュガル(中国語表記「喀什」)の拘禁施設に拘禁されている。

2009年12月に中国外務省報道官は、亡命したウイグル人は犯罪行為を行ったとして調査中であると語った。2009年7月に新疆ウイグル自治区のウルムチその他で起きた騒乱への関与のため迫害されることを恐れて、中国を脱出したものと思われる。

追加情報
避難場所を求めていた22人のウイグル人のほとんどが、2009年12月にカンボジアから中国に強制送還されたが、2009年7月の騒乱後、中国当局による迫害を恐れて新疆ウイグル自治区を脱出していた。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、カンボジアの首都プノンペンで提出された難民申請を審査中だったが、カンボジア政府は中国からの圧力に屈して送還してしまった。2009年12月19日に22人のうち子供2人を含む20人が軍の空港に連れて行かれ、中国行きの飛行機に乗せられた。その際、多くの政府や国際組織が中国政府とカンボジア政府の強制送還を非難し、強制送還された人たちが中国で深刻な人権侵害を受けること、また、それゆえ、カンボジアによる送還は、すべての国が義務を負う国際的な法規のノン・ルフールマンの原則(追放・送還禁止の原則)にカンボジアが違反したことを憂慮した。

メメット・エリ・ロジは、カンボジアからラオスへ何とか逃れた。中国に強制送還されなかったもう一人は、第三国に逃れた。アムネスティを含む国際監視団は、中国に強制送還された20人の状況や現在の居場所について情報を持っていない。

メメットの妻グルバハル・サディクによると、彼らはラオスに着いた日に中国に送還された。彼らは、まずラオスとの国境に近い中国南部の雲南省の勐腊县に32日間拘禁された。グルバハルは子供たちと一緒の部屋に、メメットは別の所に拘禁された。彼らは新疆ウイグル自治区の警察に尋問された。32日後、グルバハルと子供たちは新疆ウイグル自治区の元の住んでいた伊寧に送り返された。グルバハルは、後に夫がカシュガルに送られたことを知った。

メメットは、過去に「不法宗教活動」で3年の懲役刑に服したことがある。

アクション
英語あるいは中国語、母語で以下の内容のアピールを作り、航空便、航空書簡(全世界90円)、電報、ファクス、eメールなどで、できるだけ早く送付してください。同じ内容のアピール文が後に続きます。それをご利用ください

— メメット・エリ・ロジが要求している治療を直ちに受けられることを保障するよう、当局に要請する
— メメット・エリ・ロジが、国際的に認められる犯罪で起訴されないのであれば、直ちに無条件に釈放するよう、当局に要求する。

宛先
新疆ウイグル自治区人民政府主席
Chairman of the XUAR People’s Government
Nur BEKRI Zhuxi
Xinjiang Weiwuer Zizhiqu Renmin
Zhengfu Bangongting
2 Zhongshanlu, Urumqi, 830041
Xinjiang Weiwuer Zizhiqu
People’s Republic of China
または
中華人民共和国 830041 烏魯木斉市
2 中山路 新疆維吾爾自治区
新疆維吾爾自治区人民政府
白克力(ヌル・ベクリ)主席
ファックス:+86 991 2817567 または 2803621
eメール: [email protected]
書き出し: Dear Chairman

中華人民共和国中央政法委員会書記
Secretary of the Central Politics and Law Commission of People’s Republic of China
Zhou Yongkang Shuji
Zhongyang Zhengfa Weiyuanhui
9 Xihuangchenggenbeijie
Beijingshi 100032
People’s Republic of China
または
中華人民共和国 100032 北京市
西黄城根北街9号
中央政法委員会
周永康 書記 收
書き出し:Dear Secretary

中華人民共和国国家安全部長
Minister of State Security of the People’s Republic of China
GENG Huichang Buzhang
Guojia Anquanbu
14 Dongchang’anjie
Beijinshi 100741
People’s Republic of China
または
中華人民共和国 100741 北京市
東長安街14号
国家安全部
耿惠昌 部長 收
書き出し:Your Excellency

コピーの宛先
駐日中華人民共和国大使
〒106-0046 東京都港区元麻布3丁目4-33
中華人民共和国大使館
特命全権大使:程 永華 閣下

できるだけ早くアピールを出してください。期限を過ぎた場合はUAセンターまでお問い合わせ下さい。

期限:2011年4月21日

(アピール例文)
Chairman of the XUAR People’s Government
Nur BEKRI Zhuxi
Xinjiang Weiwuer Zizhiqu Renmin Zhengfu Bangongting
2 Zhongshanlu, Urumqi 830041
Xinjiang Weiwuer Zizhiqu
People’s Republic of China

Dear Chairman,

I’m writing to you to express my deep concern for Memet Eli Rozi, an ethnic Uighur, who is said to be seriously ill in prison in the XUAR.

I respectfully urge you to ensure that Memet Eli Rozi has immediate access to any medical treatment he requires, and to release him immediately and unconditionally unless he is charged with an internationally recognizable criminal offence.

Sincerely yours

Cc: Mr. CHENG Yonghua, Ambassador of the People’s Republic of China in Japan

http://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=3728