<独自>参院人権決議「中国」明記せず採択へ

<独自>参院人権決議「中国」明記せず採択へ

参院が今国会での採択を目指す中国・新疆(しんきょう)ウイグルや内モンゴルの各自治区などの人権問題に関する決議案が29日、判明した。自民党と各党との文言調整を経て、12月2日の参院本会議で採択される見通し。決議案は今年2月1日に採択された衆院決議と同様、「中国」「非難」「人権侵害」といった文言の明記は見送られた。

参院決議の案文は、衆院決議と同様、冒頭で「国際社会から新疆ウイグル、チベット、南モンゴル、香港等における信教の自由への侵害や、強制収監をはじめとする深刻な人権状況への懸念が示されている」と指摘した。8月に国連人権高等弁務官事務所(OHCHR、スイス・ジュネーブ)が新疆ウイグル自治区で「深刻な人権侵害」が発生していると指摘する報告書を発表したことを踏まえ、「人権状況への深刻な懸念」が日米首脳、G7(先進7カ国)に加え、同事務所とも共有されたとした。

一方、衆院決議で盛り込まれた「深刻な人権状況の全容を把握するため、事実関係に関する情報収集を行うべきだ」との文言については、同事務所が中国での調査に基づき報告書をまとめたことを考慮し、削除した。

自民は当初、参院で3月中旬ごろの決議採択を目指していた。だが、2月下旬のロシアによるウクライナへの侵攻で機運が遠のいたことに加え、衆院よりも踏み込んだ内容を目指した自民の提案に公明党が応じず、調整が難航。通常国会での採択は見送られた。

決議案を巡っては、中国国外に逃れた亡命ウイグル人でつくる民族団体「世界ウイグル会議」(本部・ドイツ)のドルクン・エイサ議長が9月に来日した際に、超党派の「日本ウイグル国会議員連盟」(会長・古屋圭司元拉致問題担当相)や自民の萩生田光一政調会長に対し、参院での採択を要望していた。