【ウイグル暴動】米議員が中国糾弾決議案を提出

産経新聞 2009.07.11

【ワシントン=古森義久】米国議会下院の民主、共和両党議員が10日、連名で中国当局のウイグル人弾圧を糾弾する決議案を提出した。同決議案は暴動や弾圧が起きたとされる中国新疆ウイグル自治区に国際調査団を送り、現地調査を実施することなどを求めている。

同下院外交委員会の監督人権小委員会の委員長ビル・デラハント議員(民主党)と同小委員会共和党筆頭メンバーのデーナ・ローラバッカー議員は連名で「中国政府によるウイグル族の平和的抗議への暴力的な弾圧を非難する」と題する決議案を出した。

同決議案は中国政府が新疆ウイグル自治区で長年、ウイグル族への弾圧を強め、その弾圧に抗議するウイグル族を5日から武力で抑えつけ始めたことが中国当局の発表でもウイグル側死者156人、負傷者1000人以上、逮捕者1400人以上という犠牲者を出す結果を招いたとして、中国政府への非難を明確にした。

同決議案はそのうえで、米国議会として(1)ウイグル族の平和的な抗議運動への中国政府によるすべての暴力的な抑圧を糾弾する(2)今回の騒乱でのウイグル族、漢族両方の死者への悲しみを表明する(3)中国政府に自国民の言論や表現の自由を認めることを求める(4)騒乱が起きた地域に国際的調査団を受け入れ、死亡や負傷の個々のケースを調査を自由にさせることを中国政府に求める(5)騒乱の原因を「世界ウイグル会議」の議長、ラビア・カーディル女史に帰することを止めるよう中国政府に求める-などという措置をとることを訴えている。

この決議案には拘束力はないが、米国議会として今回のウイグルでの事件で中国政府を初めて正面から非難することになる。

記者会見にはカーディル女史も登場し、中国政府への暴力停止を切々と訴えた。ローラバッカー議員は同会見で共和党のブッシュ前政権と民主党のオバマ現政権の両方がともに現在のウイグル自治区での中国当局の弾圧を黙認したと非難し、「経済や金融での中国への懸念ばかりを優先し、人権弾圧について沈黙するようになった」と報告した。

http://sankei.jp.msn.com/world/america/090711/amr0907111639007-n1.htm