ウイグルとチベットで宗教弾圧=中国、強制送還要求も-米年次報告
時事通信 2010.11.18
【ワシントン時事】米国務省は17日、世界各国の宗教の自由に関する年次報告書を発表した。中国について、新疆ウイグル、チベットの両自治区で政府による弾圧が続いているとし、他国に対して領土内に住むウイグル、チベット両民族を強制送還するよう要求した例に触れた。
報告書は、昨年の新疆ウイグル自治区の大規模暴動後、中国政府がイスラム教の活動に対する制限を強め、チベット仏教の活動も厳しく取り締まっていると指摘した。
また、パキスタンやシリア、ネパールなどに対し、当該国に居住するウイグル族やチベット族を「宗教活動を理由に力ずくで国内に戻そうと、圧力を掛けたとの信頼すべき報告がある」と明記した。
北朝鮮については、「宗教の自由の尊重は極端に低いレベルから変化はない」と分析。今年5月、平安南道平城市で秘密教会を運営していたキリスト教徒23人が逮捕され、うち3人が処刑されたとする報道を紹介した。
米政府は中国、北朝鮮のほかイラン、ミャンマーなど6カ国を「特に懸念される国」に指定している。同日、記者会見したクリントン国務長官は「宗教の自由は市民を虐待する権威主義的な体制の下で脅威にさらされている」と強調。その上で「宗教の自由を守らせるため力を尽くす」と表明した。