ヌリ・ベキリは適格な主席ではない

RFA 2009年2月26日~3月2日 (一部抜粋)

北京にある中央民族大学の教員で、ウイグル人経済・法律学者のイリハム・トフティ氏(ウイグルオンラインサイトの持ち主)は、フランス外務省の招聘を受け、2月22日から3月1日までにフランスを訪問した。

イリハム・トフティ氏のウイグルが抱える社会問題についての研究やウイグルの諸権利を守るための一連の活動が北京にある欧州連合代表部の注目を引いたため、彼は、欧州連合加盟各国の北京にある大使館から昨年一年間で8回にわたって招聘を受け、ウイグルが抱える諸問題について講演した。

そして今度は、フランス外務省の招聘を受け、主にフランスにおける民族問題(移民たちの政治・経済・社会的な地位などの問題)とフランス政府の対応を見学するためにフランスを訪問した。

以下は、帰国(3月1日)前にRFAが行ったインタビューである。

RFA: ウイグル領土の情勢において、民主主義の存在性は考えられますか?

イリハム・トフティ氏: 中国の他の地域においては民主化がある程度進んだ。しかし、新疆の場合は全く進展がなかった。ひいては後退した。 

RFA: ウイグル自治区の主席ヌリ・ベキリはウイグルの人々の利益を代表すると思いますか?

イリハム・トフティ氏: 私は、彼がいかにして主席になったのかは理解できません。そして、彼が適格な主席であるとは思いません。

RFA: 何故ですか?

イリハム・トフティ氏: 彼は人々の暮らしを良くしょうともしなかった。彼はいつも社会の安定維持ばかりを主張し、人々を脅かし、恐怖感を与えた 。しかし、人々の暮らしを良くしょうとはしなかった。新疆の社会は大分発展したが、人々はますます貧困化していった。中でも、地元民であるウイグルの人々が特に貧困化してしまった。更に、国家が与えたはずの自治法が一切実行されなかった。自治法だけではなく、中国の他の地域で実行されているパスポート法、教育法、科学技術法などの法律のどれ一つも実行されなかった。

RFA: ウイグル領土における最大の問題は何だと思いますか?

イリハム・トフティ氏: 失業問題です。例え死刑を受けるようなことであっても言い続けますが、世界で失業率がもっとも高い民族はウイグル族です。私は、90年代に中央政府の第9期5ヵ年計画の取りまとめに参加し、新疆に関する部分を担当しました。その時に取りまとめた報告書の中で、新疆で150万人の余分な労働力があることを指摘しました。しかし、当時の新疆政府はそれを認めなかった。当時、余分な労働力と言う概念についての認識さえ持っていなかった当局は、今になってそれを認めるようになった。

RFA: この失業問題は最近の世界的不景気の影響によるものだと思いますか?

イリハム・トフティ氏: いいえ、新疆における失業問題は50年間ずっと存在しているものなのです。

RFA: この失業問題の解決方法はないのでしょうか。それとも、解決方法はあるのに自治区政府はそれをやっていないだけでしょうか。これについてどう思いますか?

イリハム・トフティ氏: 政府の報道によると、2008年はウイグル地区への労働力の移動が最も多かった年であり、120万人の労働力が外部(中国のほかの地域)から移動してきたのです。このこと自体が、新疆では働く機会、労働力への需要は十分にあることを証明しています。しかし、この機会はウイグル人にはないのです。何故でしょう?これこそ、ヌリ・ベキリが一番考えるべき問題のはずだった。昨年のカシュガル地区の教育活動報告書から、高校生の数がその適齢にある人口全体の9%を占めることが判明した。これはつまり、残りの91%の少年が中学校又は小学校を出てから学校をやめたということを意味するのです。この少年たちのほとんどが職を持っていないのです。彼らはどうやって生きている、どうやって生きるのですか?しかも、カシュガル・ホータン・アクスあたりでは農業以外に就職の機会がほとんどないのです。
 
新疆政府は今、甘粛省から大量に労働力を移動してきています。私は、甘粛省政府の公式サイトで公表した資料を持っています。甘粛省政府による必死の説得と新疆政府による数々の支援策で、甘粛省から大量の労働力を移動してきています。私は移民の移動に反対ではない。しかし、現地の需要を考えるべきです。今の新疆は50~60年代の新疆ではない。今の新疆には、移民への需要はないのです。それほど多くの失業者がいる地域に何故移民を移動させるのか?もし、新疆で失業問題がないと言うなら、何故ウイグルの女性たちを内陸に移動させるのか?

RFA: 先ほどは自治法が実行されていないとおっしゃいましたが、幾つか具体例をお願いできますか?

イリハム・トフティ氏: 新疆は今、中国で最大規模の石炭基地になっています。そして、中央政府が必死で新疆を開発しています。自治法では、自治区制度のある地域で資源の採掘を行った場合や諸般の建設事業を行った場合に、労働力を現地の住民の中から採用すべきと定められています。これは全く実行されていません。また、自治法に基づいた場合は、ウイグル語が政府語になるはずだった。しかし、今は政府語どころか、消滅の危機にさらされているのです。

RFA: 双語教育はウイグルの利益に反すると思いますか?

イリハム・トフティ氏: 私は、本当の意味での双語教育に反対ではない。しかし、今実行されているのは、名前だけが双語教育で、実体は漢語の普及とウイグル語の排他・排除となっています。

RFA: 王楽泉は、香港のテレビ局の取材に答えた際に、双語教育の目的はウイグル人の中華意識を高めることであると話していました。双語教育にそのようなことを期待するのが正しいことだと思いますか?

イリハム・トフティ氏: ここで言っている中華意識が国家意識を指しているのであれば、つまり、自国を誇りに思う意識を指しているのであれば、 そして、その意味でウイグル人の国家意識を高めるといっているのであれば、話は別です。しかし、この意識を単に漢語を教えることによって高めるというなら、これは誤りです。ウイグル人の国家意識は漢語を身に着けた時に高まるのではなく、この国の漢人と平等の暮らし・発展を味わえるようになった時に高まるかも知れません。

RFA: 私たちはこれまでに、ヌリ・ベキリが社会の安定維持を主張する以外に、ウイグルの人々が抱える具体的な問題について何らかの対策を発表したことは聞いていません。イリハムさんは中国国内で暮らしていますが、何かを聞いていますか?

イリハム・トフティ氏: リボンカットを行ったり、「3悪勢力」の徹底打撃を主張したりすること以外は聞いていません。彼がウイグルの抱える問題を理解しているかどうかも分かりません。

イリハム・トフティ氏は、フランスにおける民族問題と中国における民族問題を比較し、この両国のどちらでも法律上は民族の平等が保障されていること、事実上にはフランスでそれが実行されているのに対して中国で実行されていないこと、特にウイグルの場合問題が深刻であることを指摘した。

近年外国に出たウイグル人(一般人から官僚まで)の中で、外国訪問が終わったら帰国するという条件の中で中国政府の誤りやウイグルが抱える問題を公に話した事例は稀である。帰国後に、この公正な行動を理由にイリハム・トフティ氏が当局からどのような態度を受けるのかは不明。

http://www.rfa.org/uyghur/xewerler/tepsili_xewer/ilham-tohti-fransiyide-02272009005353.html
http://www.rfa.org/uyghur/xewerler/tepsili_xewer/ilham-tohti-fransiyide-02282009013848.html
http://www.rfa.org/uyghur/xewerler/tepsili_xewer/ilham-tohti-fransiyide3-03032009035823.html