中国のウイグル族弾圧に日本政府は“弱腰”だが…あえて「賢明」だと言えるワケ

中国のウイグル族弾圧に日本政府は“弱腰”だが…あえて「賢明」だと言えるワケ

ソース:Yahoo

発足したばかりの岸田文雄新政権だが、総裁選時から中国には強気な「対抗姿勢」を打ち出してきていた。対米従属のなかで、経済成長著しい中国とどう向き合うか。 ⇒【画像】新疆の建物  この外交上の最重要問題に、深く影響を与えているのが「新疆ウイグル自治区での弾圧問題」だ。そもそもなぜ中国はウイグル族を弾圧するのか? 日本政府はこのジェノサイドにどう向き合うべきなのか?

新疆ウイグル自治区を弾圧する中国政府

バイデン大統領は中国に引かない姿勢

また、カナダもウイグル弾圧をジェノサイドと批判する動議を採択しており、オランダの下院議会もウイグル族に対するジェノサイドが起きていると批難する決議を採択している。  さらには、オーストラリア議会でも中国の人権侵害を組織的として批難動議が出され、EU(欧州連合)は2021年3月に、中国新疆ウイグル自治区の幹部、当局者らに制裁措置を発動させており、これは約30年振りの対中制裁となった。

バイデン大統領は、就任後初となる2021年3月25日の記者会見で、中国との関係について「21世紀における民主主義の有用性と専制主義との闘いだ」「中国は世界のリーダーとなり、最も豊かで強い国になるという目標を持っている。だが私が大統領でいる限り、そうはさせない」と述べ、中国との競争を制する姿勢を強調した。

これに対して中国外務省の報道官は、アメリカに対抗する気はないとする一方「(アメリカには)民主や人権に関して自慢する資格はない」と反論。欧米諸国の批難に対して「新疆ウイグルでの出来事は国内問題である」と主張して一歩もしりぞく気配はない。

ウイグル弾圧は中国14億人へのメッセージ

毛沢東の文革時代を彷彿させる現政権

新疆ウイグル自治区にはハイテク技術を駆使した監視管理システムが構築されているという。自治区の住民はQRコードで管理され、全ての自動車に追跡装置が着けられ、いたるところにAI監視カメラが張り巡らされている。個人の行動の全てを監視しているというから、世界でもまれな監視社会になっている。

習近平政権の信仰・言語・個人の自由・民族的文化までをも奪う、こうした弾圧の仕方は、毛沢東の文革時代を彷彿させ、従来のどの政権よりも過激で悪意に満ちている。  バイデン大統領は米中の対立を「民主主義と専制主義の闘いだ」と評した。一方、習近平政権は自国の分断化を懸念し、さらに統制力を強めると同時に覇権を急いでいるとしか思えない。

世界の国々が、開かれた自由主義的価値観に基づく米欧陣営と、閉じられた専制主義的価値観に基づく中国陣営のどちらに与するかと言えば、長きにわたる新疆ウイグル自治区に対する中国の弾圧の歴史を見れば自ずと解が得られる。中国としては、ウイグル弾圧を即刻止めなければ、西側陣営の多くの国・地域が2022年の冬季北京オリンピックをボイコットすることを念頭に置いておくべきだろう。

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