中国の病院は、妊娠後期のウイグル族の女性を中絶させたり新生児を死亡させている —— 医師が証言

中国の病院は、妊娠後期のウイグル族の女性を中絶させたり新生児を死亡させている —— 医師が証言

ソース:Business Insider

中国によるウイグル族弾圧に抗議する人(2020年2月2日、ベルギー)。

  • 中国の新疆ウイグル自治区にある病院は、妊娠後期にある少数民族ウイグル族の女性を中絶させたり、ウイグル族の新生児を死亡させていると、ラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた
  • 中国は2016年以降、ウイグル族に対して強硬な、いわゆる”対テロ”キャンペーンを実施している。少なくとも100万人のウイグル族の人々が収容施設に拘留され、思想改造されている。
  • ウイグル族の人々は法律によって、都市部に住んでいるなら子どもは2人まで、地方に住んでいるなら3人までと制限されている。
  • 新疆ウイグル自治区で15年間働いた経験を持つウイグル族の医師Hasiyet Abdullaさんは、この制限を破った女性の赤ちゃんは子宮内で、もしくは生まれた後に殺されるとRFAに語った。
  • 中国はウイグル族の出生率を下げるために、強制的に避妊させたり、妊娠中絶を行っていると報じられてきた。

中国の少数民族ウイグル族の文化を消し去るミッションの一環として、新疆ウイグル自治区にある病院は妊娠後期にあるウイグル族の女性を中絶させたり新生児を死亡させていると、この地域の元医師がラジオ・フリー・アジア(RFA)に語った

2016年以降、中国は少なくとも100万人のウイグル族を婉曲的に「再教育施設」と呼ぶ何百という収容施設に抑留している。こうした収容施設で、ウイグル族の人々はその伝統や宗教を捨てさせられている。

そして、ウイグル族の生殖権を制限し、出生率を下げることで弾圧を強めている。

中国は2017年、ウイグル族を含む少数民族が持てる子どもの数を都市部に住んでいるなら2人まで、地方に住んでいるなら3人までに制限する法律を通過させた。

2016年に廃止された中国の一人っ子政策の下で、漢民族の人々 —— 中国の人口の半数以上を占める多数民族 —— は出生率を低く保つために避妊や中絶を奨励または強制されてきた。ただ、AP通信によると、ウイグル族を含む少数民族は常に2~3人の子どもを持つことが許されてきたという。

新疆ウイグル自治区にある病院で15年間働き、現在はトルコで暮らしているウイグル族の医師Hasiyet Abdullaさんは、この制限を超えて子どもが生まれそうになると、妊娠を終了させられるとRFAに語った。

「妊娠8、9カ月」の女性も例外ではなかったと、Abdullaさんは話している。医療スタッフが「生まれた後に赤ちゃんを殺す」ことすらあったという。

この地図は、新疆ウイグル自治区にある「再教育施設」の場所を示している。

「病院側は赤ちゃんを両親に渡さず、生まれた時に殺すんです」

「これは上から下された命令です。公式文書として印刷、配布されている命令なのです。従わなければ、病院が罰金を科されます。だから、彼らは実行するんです」とAbdullaさんはRFAに語った。

中国はウイグル族の出生率を下げるために、多くの女性に対して強制的に避妊させたり、妊娠中絶を行っていると報じられてきた。

そして、その取り組みは効果を上げているようだ。AP通信によると、新疆ウイグル自治区の出生率は2019年、24%近く低下した。

“再教育施設”で何が行われているのか、その多くは未だによく分かっていない。だが、元被収容者たちは、医学的実験の被験者にされたり、自宅を伝統的な中国風に見せるための模様替えを強制されたり、食べ物をもらうためにプロパガンダの歌を歌わされたなどと話している。

また、中国は一部のウイグル族の人々から臓器をとっているとも非難されている。ただ、中国政府はこれを否定している。

中国の習近平国家主席(2020年3月)。

カナダ紙『グローブ・アンド・メール』は8月上旬、2020年1月に消息不明となったウイグル族の男性モデル、マーダン・ギャパーさんが収容施設内で撮影した珍しい動画を公開した。動画は、窓の外からプロパガンダが大音量で聞こえる中、手錠でベッドにつながれたギャパーさんの姿を捉えている。BBCもギャパーさんの証言を報じた。

BBCによると、中国側はギャパーさんを手錠でベッドにつないだのは彼が「自傷行為に走り、警察に対して過剰な行動を取った」からだと主張しているという。

収容施設は香港への弾圧同様、国際社会の批判を招いているが、中国にその姿勢を変える様子は見られない。

アメリカは7月、中国企業11社を輸出禁止措置の対象に追加すると発表した。新彊ウイグル自治区のウイグル族の強制労働に関与するなどしたためだという。

180の人権団体が7月に公表したレポートは、世界中で売られている綿の衣服のおよそ5分の1に新疆ウイグル自治区の綿もしくは糸が使われていると報告している。