新疆工作座談会から一年:東トルキスタンにおいての民族間の分裂と不公平は変化していない

世界ウイグル会議 2011.05.20 | 翻訳・掲載:2011.05.27
https://www.uyghurcongress.org/en/?p=8248

一年前、2010年5月17日から19日まで、中国共産党中央委員会と中国の内閣にあたる国務院の合同会議である「新疆工作座談会」が北京で開かれた。この会議は社会的、民族的緊張を避け、「長期の安定」を達成する目的の東トルキスタンのための新しい経済と発展の戦略について合意を得て終了した。「新疆工作座談会」は数千億元の予算を東トルキスタンにおいて支出することを結論づけ、加えてウイグル人が集中する都市カシュガルを東トルキスタンの経済的エンジンと成るべく経済特区に指定した。しかし、この会議以後のこの一年の間、最初の数百万元が投入されたが東トルキスタンの情況は緊張したままである。

新疆工作座談会は、東トルキスタンの区都ウルムチで数百人の犠牲者を出した2009年7月5日の抗議活動とそれに続いた騒乱事件に対応したものであった。7月5日の抗議活動は中国南部広東省の韶関市においての少なくとも2名、おそらく数十人のウイグル人移入労働者が漢族中国人によって殺されたことに対して中国政府が何も行動しなかったことへの憤激で引き起こされたものだった、その根本的な原因は、長期にわたる中国政府のウイグル人に対する差別的政策、そしてウイグル人の宗教的、政治的、教育上の、また経済的な諸権利へのとてつもなくひどい抑圧にある。また国連人権弁務官は「差別と少数者の権利保護の不履行」がこの抗議活動の「根底にある原因」であった、と明言している。

東トルキスタンに費やされた巨額にもかかわらず、これらの根本原因は中国当局から未だ発表されていない、なぜなら漢族中国人がこの開発政策の主たる受益者であるからである。中国政府は東トルキスタンにおけるウイグルの人々の経済的疎外戦略の追求を続けている。東トルキスタンの優れた経済的そして戦略的価値は中国政府が経済的利益からウイグル人を除外する動機付けを増幅させている。ウイグル人地域の重要な石油、石炭、そしてガス産業の従業員の大部分は明らかに漢族中国人であり、漢族中国人が大多数を占める会社が東トルキスタンにおける最良の農地の多くを管理している。

何十年にも渡って中国政府は中国内陸部から東トルキスタンへの漢族中国人の大規模移住を通じてウイグル人と東トルキスタンに対しての支配を確固とすることを試みてきた。この移住政策は東トルキスタンにおける劇的な人口統計の大転換を生じせしめただけではなく、漢族中国人を第一のこの地域における発展の受益者としてきたのである。中国の2010年国勢調査によると、東トルキスタンの現在の人口は、1949年以降東トルキスタンに不法に移住した875万人の漢族中国人を含んで(1949年には漢民族は20万人だった。)2181万人である。ウイグル人は1020万人を占めており、(2000年の国勢調査による、2010年の数値はまだ発行されていない)東トルキスタンにおける多数派をいまだ構成している。しかし人口の転換は漢族中国人にさらにいよいよ好都合に動き、ウイグル人を祖国にいながら異邦人にならしめているのである。

同時に、ウイグル人とくに結婚適齢期の女性、少女が当局によって強制的に東中国の都市部工場への労働力移動計画に参加させられている。2006年以来、何千人ものウイグル人女性が東トルキスタンから連れ去られ、虐待的、抑圧的な労働及び生活条件に配置させられている。加えて公式な中国情報筋は2011年3月、28万人のウイグル人学生をその月末までに「訓練目的」のために新疆から中国内陸部に移動する計画を報道した。世界ウイグル会議(WUC)はこのような方法は、ウイグル人の文化とアイデンティティを希釈する為の広範な計画の一部分であると確信している。また東トルキスタンはその計画のまた一部として当局が収監者でもない人たちを「hashar」という名で言及される強制労働に被らせている、中国でただ一つの地域である。もしも家族の誰か一員を農業、インフラ他の公共土木工事で働かせることを怠ったならば親族でさえもが罰金を課されてしまう。

現在進行している経済からのウイグル人の除外の結果として、東トルキスタンの公式統計は漢族中国人よりもウイグル人のほうに高い失業率と貧困率を示してしまう。東トルキスタンにおける中国の差別的政策は漢人とウイグル人の間の収入差を拡大することにより、民族間の分裂をより鮮明にさせる。

世界ウイグル会議は中国政府に対し、東トルキスタンにおける社会不安定の根本的原因を発表し、また経済発展に伴なって、文化的、社会的、宗教及び政治的差別をウイグル人を漢人文化に同化させ疎外させる為の間違った口実として用いることの停止を強く主張する。

世界ウイグル会議は中国当局にウイグル人への組織的な経済的差別を停止し、ウイグル人住民を工作会議で決定した東トルキスタンの発展計画に組み入れてウイグル人をも東トルキスタンの資源の受益者とすることを要求する。現在存在するウイグル人と漢族中国人の経済的不均等はウイグル人の発展の権利を侵害するだけでなく、社会的緊張を増大させるものでもある。もしも中国当局が東トルキスタンの安定に本当に関心を持っているのであれば、中国当局は東トルキスタンのための彼らの社会及び経済政策を基底から再定義しなければならない。