治安当局 ウイグル族研究者を脅迫か

NHK 2013.11.04

中国・北京の天安門広場の近くで車が歩道に突っ込んで炎上し、多数の死傷者が出た事件で捜査当局がウイグル族への締めつけを強めるなか、ウイグルの人々の権利擁護を訴えてきた北京在住の研究者が、海外メディアの取材を受けたとして当局から脅迫を受けていたことが分かりました。

今回の事件で、炎上した車内で死亡した3人と、容疑者として拘束された5人は、いずれもウイグル族とみられ、習近平政権はテロ事件と断定し、ウイグル族への締めつけを強める姿勢を示しています。こうしたなか、関係者によりますと、ウイグルの人々の権利擁護を訴えてきた北京在住のウイグル族の研究者、イリハム・トフティ氏が2日、妻と2人の子どもと共に車で外出した直後、尾行してきた治安当局の車にいきなり追突され、妻の携帯電話を奪われたということです。

イリハム氏は事件後、NHKなど海外メディアの取材に応じ、中国政府が事件を組織的なテロと断定したことについて、「証拠は不十分で、早急に決めつけるのは無責任だ」と批判したうえで、これまでもウイグル族の抗議活動などを根拠なく「テロ」と結び付けてきたと訴えていました。

関係者によりますと、当局者は車を追突させたあと、イリハム氏に向かって「おまえが死んだところで何だって言うんだ。誰がメディアの取材を受けていいと言った」などと脅したということで、当局がこの事件を巡る対応に批判的な言論を徹底的に封じ込めようという思惑がうかがえます。

イリハム氏は、2009年に新疆ウイグル自治区の中心都市、ウルムチで起きた大規模な暴動後にも長期間拘束されたほか、そのあとも自宅で軟禁されたり外出の際に尾行されたりするなど、当局の厳しい監視下に置かれていました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131104/k10015781931000.html