米国務長官「米中、決定的な岐路」 民主化などで注文

朝日新聞 2011.01.15

 【ワシントン=望月洋嗣】クリントン米国務長官は14日、胡錦濤(フー・チンタオ)中国国家主席の訪米を前にワシントンで講演し、「米中関係は決定的な岐路にさしかかった」と述べた。両国の前向きな協力の重要性を訴えつつ、経済政策や民主化、北朝鮮への対応などで中国政府に注文をつけた。

 クリントン長官は、米中関係について「同じ船に乗っている」が「敵と味方のように白黒をつけられない」と指摘。こうした複雑さを踏まえつつ、胡主席の訪米時に「前向き、協力的かつ包括的な関係」を訴える考えを示した。

 オバマ政権発足以来2年間の米中関係について「成功もあったが、挫折もあった」とし、「非現実的な期待を抱くべきではない」と表明。中国に進出する外国企業への差別的な措置の改善や外国製品への市場開放▽透明性のある持続可能な軍事交流▽北朝鮮やイランの核開発問題での米国との協力、など数々の注文をつけた。

 これまで「弱腰」とされた人権問題でも、行方不明になった人権派弁護士の高智晟氏、人権活動家の陳光誠氏らの名前を挙げて改善を要請。ノーベル平和賞を受賞した劉暁波(リウ・シアオポー)氏の釈放とともに、チベットや新疆ウイグル自治区などの少数民族の権利保護を中国政府に迫る考えも示した。

http://www.asahi.com/international/update/0115/TKY201101150114.html?ref=doraku