難民や亡命者の扱いめぐり中国を非難 米公聴会

産経新聞 2009.5.2 17:48

 【ワシントン=古森義久】米国の行政、立法両府が共同で中国問題を取り上げる「中国に関する議会・政府委員会」は1日、「中国の難民問題の拡大」と題する公聴会を開いた。民間団体の代表らが中国政府の北朝鮮、チベット、ウイグルなどの難民や亡命者の扱いが国際合意に反するとする非難を相次いで表明した。

中国の人権や社会への対応が国際的に及ぼす影響を調査する同委員会は同公聴会でまず「難民インターナショナル」副会長のジョエル・チャーニー氏と「北朝鮮自由連合」会長のスザンヌ・ショルテ氏が中国政府の北朝鮮からの難民の扱いについての証言を聞いた。両氏は(1)中国政府は自ら署名した国際合意に反して北朝鮮から中国への難民約20万人をすべて難民とは認めず、本国へ強制送還する措置をとっている(2)1980年代にはベトナムからの難民約26万人を正規の難民として定住させた中国政府は難民を正当に扱う能力を有しているのに、北朝鮮難民に対しては特別の政治的理由から迫害を加えている-などと批判した。

「チベット国際キャンペーン」副会長のマリーベス・マーキー氏は「チベットでの中国政府の抑圧的支配を嫌い、ネパール経由でインドへ脱出しようとするチベット人が絶えないが、中国政府はこの阻止の措置を強化し、越境者を銃撃するほか逮捕し、政治犯として長期拘束している」と証言した。

ウイグル問題に詳しいジョージワシントン大学のショーン・ロバーツ教授は「新彊ウイグル自治区のウイグル住民は中国政府の抑圧で中央アジア方面へ脱出する傾向があるが、中国当局は中央アジア諸国の政府の協力を得て、厳しく対応している」と述べた。

http://sankei.jp.msn.com/world/america/090502/amr0905021750008-n1.htm