7.5ウルムチ大虐殺事件後に失踪させられた人々(その15)

7.5ウルムチ大虐殺事件後に失踪させられた人々(その15)

RFA 2012.06.22  翻訳・掲載:2012.07.08

家族らがRFAに明らかにした情報によると、2009年7月5日のウルムチ事件後に警察に拘束されたまま失踪してしまったウイグル人の一人は、当時ウルムチで理容師をしていたトゥルスンジャン・トフティ氏(写真)である。彼は、1983年にカシュガルのトックザク村で生まれた。2009年8月1日に、ウルムチで働いていた理髪店から警察隊に連行され、そのまま失踪してしまったと言う。

家族らによると、当時、ウルムチ市Qarlighach警察署の警察官ヌルドゥンがトゥルスンジャン・トフティ氏の家族らに対し、彼を確かに自分が拘束したものの、取り調べの後拘置所に引き渡したと説明していたと言う。

しかし、本日RFAの電話取材に対し、その警察が拘束の事実関係を否定し、ひいてはトゥルスンジャン・トフティ氏を見たこともないと主張した。一方で、トゥルスンジャン・トフティ氏の家族らは、彼がトゥルスンジャン・トフティ氏を拘束したことを証明する証人らもいると強く反発している。

記者:貴方は以前ウルムチ市Qarlighach警察署で勤務したヌルドゥンさんですか。

警察:はい、そうです。私です。

記者:家族らの話によると、貴方は7.5ウルムチ事件後に失踪してしまったトゥルスンジャン・トフティ氏を当時働いていた理髪店から拘束して行ったとのことですが、拘束の後、彼を誰に或いはどの機関に引き渡したのですか。

警察:彼を拘束したのは私ではありません。私はそんな人を見たこともありません。

記者:では、当時彼を拘束したのは誰だったと思いますか。また、彼がどのようにして失踪してしまったと思いますか。

警察:そんなこと、私には分かりません。

記者:しかし、家族らの話だと、貴方自身が家族らに対して彼を拘束したことを認めていたそうですが。

警察:誹謗です。あの一家はヌルドゥンとゴジの二人が息子を拘束し、失踪させてしまったとの噂を流しているそうですが、全くの嘘です。

記者:今のウイグルの政治情勢から考えると、一般庶民が二人の警察官に対する誹謗を平気で口にできると思いますか。

警察:この件について、以前ウルムチ市警察当局からも問い合わせがあり、自分が知っている全ての状況を書面にてカーディル課長とエメット課長らに提出しました。

記者:では、その書面で提出した書類に書かれたことを簡単に話してもらいますか。

警察:数年前のことなので思い出せません。ウルムチ市警察当局に問い合わせしてください。

RFAが入手した情報によると、ヌルドゥン氏は当時ウルムチ市Qarlighach警察署の警察官だったが、7.5ウルムチ事件後の過激な取り締まり運動で当局に協力的だったため、その後国保(国家安全保衛)大隊へ転勤となった。RFAでは、ヌルドゥン氏の上記回答の信憑性を確認するために、トゥルスンジャン・トフティ氏の兄であるクルバンジャン・トフティ氏を電話取材した。彼の話によると、当時警察官ヌルドゥンが自らの口でトゥルスンジャン・トフティ氏を自分が拘束したと説明していた。また、ゴジと言う別の警察官もヌルドゥンがトゥルスンジャン・トフティ氏の取り調べを担当していたことを証言していたと言う。兄のクルバンジャン・トフティ氏は更に、当時弟と同じ理髪店で働いていた従業員4人と隣の店の従業員数人も弟がQarlighach警察署の警察らによって拘束されていたことを証言できるとも強調した。

現在国保(国家安全保衛)大隊の警察官となっているヌルドゥン氏の話によると、7月5日の事件当日トゥルスンジャン・トフティ氏の足に銃弾があたって怪我していた。この情報は、他の拘束者らを取り調べた際に入手した情報で、この情報から警察側としてトゥルスンジャン・トフティ氏が事件に関わった可能性が高いと判断し、彼を捜したが見つからなかったと言う。

しかし、兄のクルバンジャン・トフティ氏の話によると、7月5日のウルムチ事件当日弟の足に銃弾があって怪我したのは事実だが、直接彼に向けて発された銃弾があたったわけではなく、空から落ちてきた銃弾が偶然彼の足にあたっただけで、軽い怪我だったため自分で処置して治していたと言う。また、7月5日の事件当日は、弟が帰宅できず、働いていた理髪店近くにある一人の友人の家で泊まっていたと言う。

兄のクルバンジャン・トフティ氏は、「弟が拘束されてから、7月5日の夜に弟を自宅で泊めてくれた友人もQarlighach警察署に連行され、取り調べを受けた。このこと自体も、弟が当時間違いなくQarlighach警察署に拘束されていたことを証明している」と指摘した。

http://www.rfa.org/uyghur/xewerler/tepsili_xewer/ghayip-bolghanlar-06222012181710.html

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