[緊急行動(Urgent Action)] ウイグル族学者自宅より連行

アムネスティ・インターナショナル 2014.02.08

著名なウイグル族学者で、ウエブサイト「ウイグル・オンライン」の開設者イルハム・トフティさんが1月15日、当局により北京の自宅から連行された。所在は今も確認されていない。拷問その他の虐待を受ける恐れがある。

1月25日、ウルムチ市公安局は、イルハムさんが多数の犯罪行為をしたと非難した。とりわけ自身のサイト「ウイグル・オンライン」を用いて、フォロアーに「分離独立運動」への参加を呼び掛けたとしている。アムネスティ・インターナショナルは、イルハムさんが表現の自由を平和的に行使しただけで拘束された良心の囚人であるとみなしている。

トフティさん(45歳)は中央民族大学の経済学者で、新疆ウイグル自治区に於ける中国の民族・宗教政策に関する著名な評論家である。同地では近年、ウイグル族と治安部隊の間で、幾度か激しい衝突が起きている。宗教の自由の制限、雇用差別、政治的な疎外により、新疆ウイグル自治区の民族対立は深刻化している。

中国共産党が昨年12月19日に新疆ウイグル自治区に対する新たな「大戦略計画」を始めて間もなく、トフティさんは拘束された。この新たな計画の中で、「社会の安定維持」を新疆ウイグル自治区に於ける主要な戦略目標にすると宣言している。また、王安順北京市長は1月16日、「政府は、反テロ対策のためにインターネットの管理を強化する」と述べた。政府はネット管理を拡大・強化し、「新公民運動」のメンバーの投獄も行っている。「新公民運動」は、政府の透明性を促進し、腐敗を暴くことを目指す穏やかな活動家のネットワークである。

追加情報

トフティさんは、永年中国国内のウイグル人の状況に関して論評を行っている。そのウエブサイト「ウイグル・オンライン」は、ウイグル族のみならず、漢民族も受けている人権侵害を報告している。当局は同ウエブサイトを少なくとも2度閉鎖した。2008年の北京オリンピック開催前と、2009年3月〜4月の1カ月以上である。当局は2009年3月にトフティさんがフランスへ旅行中、監視下に置き、尋問した。その渡航中、メディアとのインタビューで、中国の少数民族政策を非難した。

2009年6月26日に広東省韶関市でウイグル人出稼ぎ労働者(複数)が殺害されたことに対し、政府が何ら行動を起こさなかったことに抗議するために、同年7月5日、新疆ウイグル自治区の首府ウルムチでウイグル人たちが集結した。デモは平和的に始まったが、警察が抗議する人びとに武力行使したため、暴動化した。公式発表によれば、そのときの衝突によって197人が死亡した。死者の大半は漢民族だったという。国営新華社通信は、その抗議行動に参加した1,400人以上を拘束し、その中には不安を煽り立てたとされる中心人物数人が含まれていると伝えた。「ウイグル・オンラインに投稿された記事がウルムチで発生した暴動を煽り立てた」と当局が発表した。その後間もなく、同年7月8日〜8月23日まで、トフティさんは恣意的に拘束された。それ以後も周期的に拘束され、自宅軟禁されている。

今年1月15日に拘束された際には、中央民族大学の学生8人も拘束された。この4人はすでに釈放されている。拷問や他の虐待は、中国が1988年に国連の「拷問等禁止条約」を批准しているにもかかわらず、中国における全ての種類の拘禁に深く根づいている。

ウイグル族は、主として中国新疆ウイグル自治区に集中して暮らすイスラム教徒が主流の少数民族である。1980年代から、ウイグル人は組織的で広範囲に及ぶ人権侵害の対象となっている。この人権侵害には、恣意的拘束、投獄、隔離拘禁、文化的、社会的権利のみならず、宗教の自由にかかわる重大な制約がある。地元当局は、宗教活動に厳格な管理を行っており、すべての政府職員と18歳未満の子どもがモスクで礼拝することを禁じている。ウイグル語の使用制限、宗教の自由に対する厳しい制限、同地への漢族の流入が恒常化していることにより、ウイグル族の習慣が破壊されており、雇用面での差別とあいまって、不満や民族間の緊張を助長している。2011年9月11日に米国でテロ攻撃が起きると、状況は悪化した。中国当局がウイグル族の人権をさらに抑圧する目的で、反テロ対策を利用したのである。

アクションしてください

中国語、英語もしくは日本語でアピール文を作り、航空書簡、ファックス、Eメールのいずれかで、できるだけ早く送ってください。以下の文面と英文サンプルをご利用ください。

  • トフティさんの所在をただちに明らかにするように、当局に求める。
  • トフティさんは、表現の自由の権利を平和的に行使しただけで拘束された良心の囚人であるため、即時、無条件に釈放するように当局に求める。
  • 拘束中、トフティさんが拷問その他の虐待を受けることがないこと、彼が自選の弁護人や家族に面会したり、必要に応じて医療サービスを受けられるよう、当局に求める。

宛先:

国家主席 Xi Jinping Guojia Zhuxi The State Council General Office 2 Fuyoujie, Xichengqu, Beijingshi 100017 People’s Republic of China ファクス:+86 10 6238 1025 E-メール: [email protected]

書き出し:Your Excellency

国務院総理 Li Keqiang Guojia Zongli The State Council General Office 2 Fuyoujie, Xichengqu, Beijingshi 100017 People’s Republic of China ファクス:+86 10 6596 1109 (c/o Ministry of Foreign Affairs)

書き出し:Your Excellency

コピーの宛先:

司法部長 Abuliz Usour Tingzhang Xinjiang Weiwuer Zizhiqu Sifating 27 Renminlu Urumqi 830 Xinjiang Weiwuer Zizhiqu People’s Republic of China ファクス:+ 86 99 1231 1590

書き出し:Dear Director

アピール例文

Xi Jinping Guojia Zhuxi The State Council General Office 2 Fuyoujie, Xichengqu, Beijingshi 100017 People’s Republic of China

↑ここに宛先を記入

Your Excellency,

↑ここに書き出しを記入
I am writing this to express my grave concern for Ilham Tohti, an economics professor at Central University for Nationalities and a well-known critic of China’s ethnic and religious policies in the Xinjiang Uighur Autonomous Region. He was taken from his home in Beijing by authorities on January 15. His whereabouts are currently unknown.
I urge you to immediately disclose Ilham Tohti’s whereabouts.
At the same time, I call on you to immediately and unconditionally release Illham Tohti as he is a prisoner of conscience, detained solely for the peaceful exercise of his right to freedom of expression.
I also urge you to ensure that while Ilham Tohti remains in custody he is not subjected to torture or other ill-treatment, that he has access to legal representation of his choice, his family and any medical care he may require.
Thank you for your prompt attention to the above.
Sincerely yours,
↑ここにあなたの名前とアドレスを記入

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http://www.amnesty.or.jp/get-involved/ua/ua/2014ua018.html