ウイグル族70人逮捕か 中国当局 聖火妨害を恐れ

東京新聞 2008年4月4日 朝刊

【北京=新貝憲弘】ロイター通信は三日、ウイグル亡命組織の話として、中国新疆ウイグル自治区カシュガルで、六月に予定される北京五輪の聖火リレー通過が妨害される恐れがあるとして警察当局がウイグル族七十人を逮捕したと報じた。同自治区ホータンでは先月、政治犯の釈放と信教の自由などを求めるデモが発生しており、チベット自治区などと同様に緊張が高まっている。

先月のデモについてホータン市政府はホームページで、市内最大の貿易市場で先月二十三日に「ごく少数のやからが国家分裂を目的に騒ぎを起こした」としている。

ロイターは、新疆ウイグル自治区イーニンで、ウイグル族の民家が武器隠匿の疑いで家宅捜索され十数人が連行されたことも報道。ドイツに本拠を置くウイグル人亡命組織「世界ウイグル会議」の話として「五輪を弾圧の口実として利用している」と伝えた。

一方、先月十六日に中国四川省アバ・チベット族チャン族自治州アバ県で起きたチベット族の暴動鎮圧をめぐり、同自治州の肖友才副州長は三日、北京で記者会見し、現地の状況について「完全に正常な秩序が戻り(世界遺産登録地の)九寨溝など観光地への旅行も安全だ」と強調。

しかし、海外メディアの取材が可能かどうかと問われ「ごく一部の不法分子が逃走中で、安全面を考慮するとまだ適当でない」と答えるなど、矛盾もみられた。

また国営新華社通信は、チベット自治区への旅行が来月一日から解禁されると伝えた。同自治区への入境は暴動発生後の先月十六日から禁じられている。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2008040402000890.html