世界報道の自由の日、世界ウイグル会議は現在進行中のウイグル人の表現の自由への侵害を非難する

世界ウイグル会議 2011.05.02 | 翻訳・掲載:2011.05.12
https://www.uyghurcongress.org/en/?p=8104

毎年5月3日に祝される世界報道の自由の日にあたり、世界ウイグル会議は現在進行中の東トルキスタンにおけるウイグル人の表現の自由の権利が侵害されていること非難する、そして収監されている報道機関で働いていたウイグル人の悲惨な境遇に対して国際社会に注意を喚起する。

ジャーナリスト保護委員会(CPJ)のある報告書によると、中国は2010年12月1日で少なくとも34人のジャーナリストを監獄に入れ、現在世界全体で収監中のジャーナリストのリストにおけるトップを走っている。国境無き記者団(RSF)は中国の「グレートファイアーウォール(万里のファイアウオール)」は世界で最も完成した検閲システムであると強調し、中国は世界で最も「インターネットの自由」を侵害していると考えている。

東トルキスタンにおけるインターネットユーザーは当局から破壊的と見なされたコンテンツやウェブサイトにアクセスすることをブロックする「グレートファイアーウォール(万里のファイアウオール)」のフィルタリング(禁止されているキーワードや語句のリストの中には「ラビア・カーディル」、「世界ウイグル会議」、「ウイグル人権プロジェクト」、そして「東トルキスタン」などが含まれている。)に遭う傾向にあるばかりではない。さらに中国当局はウイグル人とチベット人のジャーナリストが中国の憲法で保証されている表現の自由の権利を行使したことについて、特に弾圧し収監している。ウイグル人の言論の自由への制限は悲劇的な2009年のウルムチでの諸事件以降に甚大に増加しつづけており、2010年はメディアで働くウイグル人にとって特に暗黒の年となってしまった。多くのウイグル人ジャーナリスト、ブロガー、ウェブサイトスタッフらが非公開で不公平な裁判で長期の懲役刑を宣告された。その中には:

  • ヌルエリ(ウイグル語ウェブサイト「セルキン」の管理者)
    判決:国家安全危害容疑で3年の懲役
  • ディリシャット・ペルハット(ウイグル語ウェブサイト「ディヤリム」の管理者でオーナー)
    判決:国家安全危害容疑で5年の懲役
  • トゥルスンジャン・ヘズム(ウイグル語ウェブサイト「オルホン」の監督者)
    判決:容疑不明で7年の懲役
  • ニジャット・アザット(ウイグル語ウェブサイト「シェブネム」の管理者)
    判決:国家安全危害容疑で10年の懲役
  • ハイラット・ニヤズ(ウイグル語ウェブサイト「ウイグル・オンライン」の管理者)
    判決:国家安全危害で15年の懲役刑
  • グルミレ・イミン(ウイグル語ウェブサイト「セルキン」のスタッフ)
    判決:2009年7月の暴動扇動、国家機密漏洩、不法デモの組織容疑で終身刑
  • メメットジャン・アブドラ(ウイグル語ウェブサイト「セルキン」の管理者)
    判決:2009年7月ウルムチでの死亡者の出た民族暴動の扇動補助容疑で終身刑
  • 他のウェブサイトボランティアスタッフが2009年7月の諸事件の後、拘束されたと報告されている、その中には、ムハメットオブルカスムムズタグルクチェクヤンチュクチヘイリニサヤルヌルエリキンの諸氏が含まれている。しかし彼らの法的地位と消息は不明のままである。

世界ウイグル会議はこれらの判決は中国当局が東トルキスタンにおける表現の自由および報道の自由を抑圧し、ウイグル人が見聞きし経験した人権侵害についての情報を共有し言挙げすることを思いとどまらせる為に恐怖を注入し、そして究極的にはウルムチにおける2009年7月中またその後の抗議活動と暴力的な弾圧で何が起こったかを隠蔽する為の最近の試みであると確信している。

世界ウイグル会議は2010年のこれらの拘束や判決宣告が、2009年7月のウルムチでの抗議活動や民族騒乱の後に東トルキスタンの住民からインターネットアクセス、eメール、ショートメール(テキストメッセージ)や国際電話の通話を何ヶ月も奪った、国家によって課された情報遮断の真っ只中に行なわれたことを特記している。2010年5月14日東トルキスタンの地方政府はこの種の政府検閲の最も長く続いたケースであった10ヶ月のインターネットサービスの遮断あるいはアクセスの限定が復旧されたと発表した。しかし、ウイグル語、普通話中国語、英語を含めたウイグル人コミュニティ向けのウェブサイトの大部分は今日まで閉鎖、検閲下、さもなくばアクセス不能のままである。

中国当局のウイグル人ジャーナリスト、ウェブ管理者、そしてブロガーへの迫害が2009年の諸事件の後に強化されたにもかかわらず、執拗な検閲策は続いた。2009年7月5日の諸事件に先だって拘束されたウイグル人の報道機関労働者は以下の限りではない:

  • アブドゥラ・ジャマル(カシュガル出身の中学校教師で作家)は2005年3月12日に拘束されたが、カシュガルで「石油油井での災害」と題する原稿を彼が出版の為に提出した後に当局は分裂主義扇動と主張し、2005年4月に公式に逮捕されたのである。この事件についてのさらなる詳細はアブドゥラの消息を含めて不明である。
  • アブドゥルゲニ・メメットイミン(ジャーナリスト、作家、教師、通訳)は2002年7月26日にカシュガルで拘束され、懲役9年と公民権剥奪3年を「国家機密を国外組織に与えた」として宣告された。(彼は海外のウイグル人組織に東トルキスタンにおける人権侵害の情報を与えていた。)メメットイミンには裁判前の拘束の間の弁護士の接見も、裁判においての法的代理人もなかった。中国の情報筋によれば、彼は2011年7月25日に釈放されるべきであると言う。
  • ヌルムハメット・ヤスン(作家)は2004年末カシュガル文学ジャーナルに小説「野生の鳩」を発表した後2004年11月29日に拘束された。「野生の鳩」は鳩の王の息子が彼の群れのための新しい家を探す使命の途中に、人間に捕われて籠に入れられてしまうという寓話である。鳩の王の息子は最後には彼の自由を犠牲にするよりむしろ毒のある苺を食べて自殺する。中国当局はこの話は東トルキスタンにおける彼らの政府への批判であると考えた。ヌルムハメット・ヤスンは秘密裁判において「民族的憎悪または差別を扇動した」として懲役10年を宣告された。
  • メメットイミン・アリヤル(ウイグル語ウェブサイト「ビリック」www.bilik.cnの中心的管理者)、彼は2007年に未開示の犯罪容疑で6年の懲役を宣告されたが、その判決は一週間後に11年に増やされた。
  • メフブベ・アブラッシュは彼女の勤務先であった新疆人民ラジオ局(新疆人民廣播電台)の広告部を2008年8月に解雇され、同月にいわゆる「双語」教育を含む政府の政策に批判的だったインターネット用の彼女の作品に明らかに関連して拘束された、彼女は「分割主義」容疑で3年の懲役を宣告された。メフブベ・アブラッシュは新疆女子刑務所(新疆第二刑務所)で刑期を勤めているが2011年に刑期を終了後に解放されるべきである。

上記2人の刑期満了での出所は2011年であるゆえ、世界ウイグル会議はアブドゥルゲニ・メメットイミンとメフブベ・アブラッシュの事件に特別の注意が払われることを望み、その中で中国当局には遅延も妨害もなく彼らを解放することの確認を勧告する。

上記した全てのウイグル人の報道機関で働いていた人々は「国家安全危害」(ESS)容疑あるいは関連した容疑で有罪とされた。国家安全危害罪は中華人民共和国刑法102条から113条に定義され、国家分割、転覆、スパイ行為、および武装叛乱のような行動が含まれている。国家安全危害罪は終身刑か死刑の可能性を課している。2006年3月、「拷問及び他の残虐な非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰」に関する国連特別査察官は「[国家安全危害罪]の曖昧な定義は特に宗教、言論そして集会の自由の諸権利を虐待するために、その適用が開放されている」と特筆している。人権団体は繰り返しこれらの容疑は常時かつ恣意的に中国当局により平和的なウイグル人異論派を沈黙させる為に悪用されている、と強調している。

世界ウイグル会議は前述の諸事件は現実の断片にすぎず、より多くのウイグル人ジャーナリストが現在中国の監獄に捕われていると確信している。報道の自由は東トルキスタンにおけるウイグル人が今日享受している自由ではないことは疑いの無いことである。

ウイグル人のメディアスタッフを収監することによって、中国当局は国際的法規準をだけでなく、表現の自由と報道の自由を保障している自身の憲法35条を侵害している。

世界ウイグル会議は国際社会に対し、このウイグル人の表現の自由の組織的迫害の終結をもたらし、自身の諸権利を確認する人々を守ることを助けるような手段を強く支持すすることを要請する。加えて、世界ウイグル会議は中国政府に対し、全ての収監されているウイグル人ジャーナリストと報道機関で働く人々の即時かつ無条件での釈放を勧告する。   

注:国連総会は報道の自由の重要性の意識を高め、また諸国政府に世界人権宣言第15条の下に記されている表現の自由を守り尊重する義務を喚起させる為に5月3日を世界報道の自由の日と宣言した。