欧米外交「偽善」と批判 アムネスティ年次報告

東京新聞 2011.05.13

 【ロンドン共同】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(本部ロンドン)は12日、世界の人権状況をまとめた2011年版の年次報告を発表。強権的なムバラク体制を崩壊させたエジプトでの民主化デモの際、欧米諸国が当初、デモ隊の要求を支持することをためらいがちだったことなどを挙げて、欧米の外交政策は「偽善だ」と非難した。

 シェティ事務総長は、米国は、ムバラク氏が約30年間、過酷な弾圧を国民に加えていたことを知りながら、同体制を支えてきたと指摘。「多くの国々が人権や民主主義の価値を唱えながらも、国民の人権に無関心で腐敗したムバラク氏やベンアリ・チュニジア前大統領を支持してきた」と述べ、欧米諸国のこれまでの二重基準の外交政策を批判した。

 同報告は中国について、チベット族やウイグル族など少数民族に対する抑圧が続いているほか、人権活動家などへの締め付けが厳しくなっていると指摘。民主活動家、劉暁波氏へのノーベル平和賞授与に反発して、中国がノルウェーとの2国間の経済交渉を棚上げした事例を挙げ、「経済的、政治的な影響力の増大を背景に、中国は自国の人権状況を批判する国々に対して報復措置を取るとの脅しをますます強めている」と批判した。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011051301000250.html