在米ウイグル人協会は東トルキスタンにおいて4名のウイグル人に死刑宣告が与えられたことを非難する

在米ウイグル人協会(UAA) 2011.02.23 | 翻訳・掲載:2011.02.26
http://www.uyghuramerican.org/articles/5482/1/UAA-condemns-death-sentences-given-to-four-Uyghurs-in-East-Turkestan/index.html

在米ウイグル人協会(UAA)はウイグル人名を持った4人の男性が東トルキスタンにおいて死刑を宣告されたことを非常に懸念している。
アクス、ホタン、クムル(中国名:哈密)の裁判所で、トルフン・トルディ、アブドゥラー・トュニヤズ、アフンニヤズ・ヌリ、そしてアブドゥケリム・アブドゥラーマンが2010年8月及び11月に起きた三件の別個の事件において訴追された役割を果たしたとして死刑を宣告された。
公式メディアの報道によると、4人の男性に与えられた死刑判決は中国の最高裁によって認可され、いかなる時でも執行可能を意味している。
加えて、ヤシン・カーディルとアフメット・クルバンがそれら諸事件に関しての二年の執行猶予付の死刑判決を受けている。

「彼ら4人のウイグル人に死刑を宣告することによって、中国はウイグルの人々を脅迫することを試みています、中国はウイグル人が街に繰り出してデモを行い、人権、民主政治、そして専制的な中国政府からの自由を要求することを恐れているのです。」

ウイグルの民主指導者、ラビア・カーディルさんは話す。

UAA(在米ウイグル人協会)は東トルキスタンにおけるウイグル人に対する死刑適用の不均衡、この地域における極度に緊迫した政治環境、そして、中国政府のウイグル人を迫害する口実としての「テロリズム」の濫用が立証されていることに鑑み、国際社会にこれら死刑判決を非難することを要請する。なぜなら、これら男性は9名の殺害で「テロリスト暴力行為」を実行したとして訴追されたからである。

加えて、アクスで起こった襲撃事件の直後の透明性の欠如、同様にホタン、クムルで生じたとされる襲撃事件に関しての報道が全くない事はそれら事件に適用された刑事的及び法的な手続きに関しての重大な疑問を呈している。

一方で中国公式メディアは2月23日にアクスでの8月の襲撃にすぐに続いての報告の中で2010年秋の襲撃のテロリスト性質を強調したが、中国の政府官員はその事件のテロリスト性質を説明しなかった。詳細が不明なこと、そして証拠が確認されないことでこのような公式の主張に関しては懐疑論が提起させられ、独立した調査を正当にするものとなる。

ウイグルでの騒乱に、その平和的なものに対してでさえ不釣合いな反応を正当化するための長期的戦略の一部として、中国政府官員はウイグルの人々と世界的テロネットワークとの間の関係を捏造してきた。9.11事件以来、中国当局は「対テロ戦争」をウイグル人の抑圧を強化するための口実として用いてきた、ウイグル人のほとんど大多数はいかなるテロ攻撃とも関係がないのである。

UAAは無条件でいかなる形式の暴力にも反対する、いかなる暴力的行動をも非難する、そしてテロリスト活動はウイグルの人々への抑圧を増大させ、ウイグル人と漢族中国人との間の緊張を悪化させるのにかなうだけであると主張する。UAAは平和的にウイグル人の為の民主政治、自由、人権の実現のために活動しているのである。

暴力的襲撃は近年、中国全土で頻繁に発生しつづけている、その中には2010年7月の湖南省の税務署において複数の死亡者が出た爆発、2010年上期と一ヶ月強に五つの諸省で起こった学校生徒への死者の出た襲撃、2010年7月に山西省での鉱山労働者と村人の衝突、そしてある村で2010年7月に起こった村長の家族への致死的な襲撃などである。

アクスでの8月19日の襲撃の背景

トゥルスン・トゥルディとアブドゥラ・トゥニヤズは東トルキスタン西部キルギス国境近くの都市のアクス市で8月19日に発生したと報道されている死亡者の出た襲撃事件に関係したとして判決を受けた。その襲撃事件はアクス郊外でその朝に発生し複数の死傷者が出た。その襲撃事件の詳細の多くに関連しては明瞭さが欠けていた。国際ジャーナリスト連盟は8月20日に中国の中央宣伝部がその事件について報道することを禁止していたと報告した。UAAは襲撃事件の起きた数時間後に地域の情報筋からアクス市と東方に位置するクチャ市を含む周辺地域で戒厳令が施行されたという未確認の情報を得た。

複数のメディアの報道によれば、襲撃者あるいは複数の襲撃者はアクス市で三輪の乗り物で群衆に突っ込んで行き、爆発物を発破させ複数の法執行機関員を死傷させた。地方政府のスポークスパーソン侯漢敏(Hou Hanmin)新聞弁公室主任は8月19日の記者会見で記者にウイグル人男性容疑者が襲撃中に自身も負傷し、当局に拘束されていると話した、しかし彼の年齢や身元は不明だった。侯漢敏は中国公安が襲撃の背景となる動機を捜査中であると言明した。8月20日に中国国営メディアは一人の女性も襲撃に加わっており、彼女は爆発で死亡したと報道した。

8月に中国政府官員と国営メディアで発せられる死傷者数も変化した。8月19日アクス市政府ウェブサイトに掲載された声明によると、7人が襲撃直後かあるいは襲撃中の負傷の結果死亡した。アクス市政府は14人が爆発で負傷したと報道した。メディアの報道によると襲撃で死傷した少なくとも何人かの人はウイグル人であった。多くの警察車両が襲撃で破壊されたという。

地域の住民によると襲撃の的となったと準警察部隊はこの地域のウイグル住民の監視を担当していると信じられていた。地域の情報筋は北京からの政府官員が襲撃のあった同日にアクス市を訪れていたという。情報筋はまた襲撃事件での負傷者はアクス第一人民病院で治療されていたと報告したが、襲撃を貫徹したといわれる男性の周りは厳しい警備が配置されたという。

地域の情報筋の未確認の報告やメディア報道によれば、襲撃事件直後からアクス市と周辺地域に戒厳令が施行されたといわれている、が地方政府はそれらの報道を否定している。武装警察(武警)、特別警察(特警)、装甲車が戒厳令を執行する為に展開したと報告されている。総括的な捜索、そしてウイグル人の大規模な拘束がアワト県を含むアクス地区の行政区域管轄内とクチャ市で実行された。

ラジオフリーアジアの住民インタビューやUAAが入手したアクス市住民の報告では、同市での警察のパトロール者の行動は地域住民に憤激を生じせしめていたが、その理由は極度に強硬に採られた警察の査察方法であった。地域住民は警察の部隊はあご髭のあるウイグル人男性やスカーフを被っていた女性をしばしば執拗に苦しめていたと報告した。地域の住民はラマダンの月に関係する断食他の宗教的実践に関して激しい制約を経験したと報告したが、ラマダン月は8月11日に始まっていた。公式のメディアはホタン地区のアルトゥシュ、ケリヤ両県とカシュガル地区のポスカム県、カシュガル地区のヤルカント県を含む東トルキスタン全土の都市でラマダン中に増加する断食や礼拝に対しての制限を「安定を保護」し、民族統一と「不法宗教活動」からの防衛を強化するという名目の下に示した。公式の指針では特に政府で働くもの、教師と学生はラマダン中にはいかなる形式の宗教的行動も厳しく禁止されるのである。

カシュガルでの2008年の襲撃に関連して執行された処刑

2008年8月、中国国営メディアは2人のウイグル人、タクシー運転手ともう一人は野菜販売業の人物が2008年8月4日にカシュガルでトラック、自家製手榴弾と刀を用いた襲撃を行い、16人の警官を殺害したと報道した。アブドゥラマン・アザトとクルバンジャン・ヘミトは襲撃を行ったとして起訴され2008年12月に「能動殺人と不法銃器、武器、爆発物製造」で死刑を宣告された。

襲撃の後、カシュガル地区の史大剛共産党書記はアザトとヘミトは東トルキスタンイスラム運動(ETIM)のメンバーであったと語った。しかし史大剛の声明以来、二人がETIMに所属しているようないかなる証拠も示されていない。ウイグル人やテロリズムに関しての著名な学者たちは組織的テロ集団としてのETIMの存在について疑問を投げかけつづけている。そしてもしETIMが存在したとしても何年も前に消滅したと主張している。加えて2008年9月28日、ニューヨークタイムスはその襲撃が幾つかの主要な部分において中国の事件の公式見解に疑問を投げかけた、3人の西欧の旅行者の目撃証言で詳細を述べ、またそのうち一人は襲撃の写真を撮っていた。

アザトとヘミトの2人のウイグル人は2009年4月9日、地方のある競技場で4,000人の官員とカシュガル住民の前で差し迫った処刑の宣告が読み上げられた後に知られざる場所において処刑された。地域の情報筋によると、ヘミトは拘束中に激しく殴打されたという。
2人にはまた弁護士との接見も拒否され家族との面会も拘束の始めから与えらていなかったことが報告されている。この処刑は激しい公安取締りと同時に執行され、少なくとも90人のウイグル人が逮捕された、その時中国政府は武装公安部隊を東トルキスタン全土で動員し当局は一軒一軒家宅捜索を行った。

日本語訳:http://kok2.no-blog.jp/tengri/2011/02/uaacdm_aksu_sts.html