7月5日以降に消えたウイグル人に関する世界中での抗議に関するWUC新レポート

WUCプレスリリース 2012.07.06 | 翻訳・掲載:2012.08.06 https://www.uyghurcongress.org/en/?p=16921

注:大分時期が過ぎてからの翻訳になりますが、ご参考いただければと思います。

本日、世界ウイグル会議(WUC)は2009年7月5日に中国政府から残酷に鎮圧された、東トルキスタンのウルムチでの平和的な抗議に参加し、強制的に行方不明になったウイグル人に関する最新のレポートを発表した。このレポートは現代の東トルキスタンで最も悲劇的なエピソードの一つに注目しており、何百人もの死が精神的な傷としてウイグル人の母国に残されたことを明らかにし、その状況を改善することを目的とする。このレポートは、昨日ウイグル人が世界中で平和的に行なった抗議についてのものである。

レポートは7月5日の平和的な抗議に関連して行方不明になったと信じられている、または確認されているウイグル人に関する最新の情報をもたらしている。WUCとその傘下の組織は、23人のウイグル人が行方不明となっていることを確認しているが、ウイグル人が情報提供することによって、自身が報復されることを恐れ自己検閲してしまうことから、東トルキスタンからの情報を回収することが非常に難しいため、その他にも大在の人間が行方不明になっているのではないかと考える。

中国の国内法には、多数の他の基本的な国際的人権法とともに、表現と信仰の自由が少なくとも名目上置かれているが、正当な反体制の声をあげる人々を恣意的に拘留してきた歴史を持っている。7月5日の平和的な抗議に対し中国当局は暴力的な対応をし、これは多数の死者と、民族間の動揺へと帰着し、そして中国共産党が誇っていた中華人民共和国国内の民族の団結に関する政策に鈍い光を投げかけた。

民族間での動乱の余波として、中国当局はグルジャ虐殺を思い起こさせるような、インターネットの完全遮断、平和的な抗議に参加した者への組織的な捜索など、「新たな厳打キャンペーン」を行ない、ウイグル人の権利と自由の取り締まりを開始した。この最新のレポートは、中国当局が定期的に行なう悲惨な政策によって行方不明になった者人々に着目する。このように行方不明者が生じることになった事件の3周年を迎えるのに合わせ、このレポートをリリースする。

レポートは48ページからなり、レポートは可能な限りの参考文献をもとに作られ、中国当局が行なっていることの壊滅的な影響と、ウイグル人が強制的に行方不明にさせられているということに、国際社会の注目をもう一度集めることを目的としている。更にこのレポートが、現在も続いている嫌悪すべき人権侵害の現状を国際社会が評価し、ウイグル人亡命者の難民申請の際には、この状況も判断材料として含め考慮する助けとなることを望んでいる。

レポートの概要:

序文

2009年7月5日に中華人民共和国新疆ウイグル自治区のウルムチ市街でデモが起こった。デモは中国当局から差別されたと主張するウイグル人の怒りから発生した。抗議は中国南部の韶関市で数日前にウイグル人が殺害されたことについて、全面的な調査を要求する平和的なデモから始まった。平和的なデモは当日遅くなってからウイグル人と漢人の間で暴力的な衝突に発展し、多くのウイグル人と漢人が命を落とし、負傷を負い、多くの建物が破壊された。

この危機は暴力だけでは終わらず、警察による広範囲の強化された一斉捜索により、最初の騒動から数日後までに、多くの男性が行方不明になった。暴力が発生してから数日後、数人のウイグル人女性がデイリー・テレグラフのレポーターに、7月6日の夜にウイグル人の住宅地に警察官が男性と少年をベッドから連れ出すために立ち入り、それ以降にも100名ほどの容疑者が一斉検挙された、との情報を寄せた。2009年10月21日にヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は、広範囲に渡って夜を徹して行なわれた中国治安部隊による一斉捜索により、連れ去られ行方不明になった43人のウイグル人男性のケースについて文書化している。

ラジオ・フリー・アジアのウイグル語版で2012年5月14日に報告されているように、亡命ウイグル人のリーダー、ラビア・カーディルは、2009年7月5日の事件以降、10,000人ものウイグル人が失踪したとされていると発表した。行方不明になっている被害者の大部分は、広範囲の掃討作戦により中国当局により拘留されている、と考えられると情報源は伝えた。これらの作戦行動は、人民武装警察や政府当局により、新疆の様々な地域、特にウルムチにおいて施された。HRWによると、連れ去られたウイグル人男性の中で最も多かったのは20代で、最も若い者は12歳と14歳だったという。

2012年5月14日に30家族以上がラジオ・フリー・アジアのウイグル語サービスに来て、親類が失踪した話と、失踪した内の19人の詳細と写真を提供した。行方不明者の家族は中国当局に拘束されていると確信している。多くのケースにおいて彼らの疑念は、留置置所の同房者や警察により裏づけられている。ラジオ・フリー・アジアと連絡を取った19家族は、新疆の首都であるウルムチ、シルクロードの街であるカシュガル、ホータン地区のカラカシュ県から来ていた。ホータンのカラカシュ県の住民によると、行方不明になった被害者はカラカシュのみで200人を超えるという。ホータンとカシュガルの多くの家族が、7月5日の出来事の後にウルムチまで行って親類を捜していると報告されている。

これらの被害者の略歴をみると、行方不明になった個々のケースには明瞭な共通点があることが分かる。報告されたうちの2人以外は全て反対意見を述べたウイグル人であること、全てが若い男性であること、その中の数名を除いた全ての人々は7月5日の騒乱や暴力的な衝突には関わっていないと確信されていることである。更に共通の特徴としては、行方不明になった人々の家族は、彼らの所在を休むことなく探し続けていることである。この事件で影響を受けた家族の多くは各レベルの政府機関に嘆願しているが、成果は上がっていない。受理された申し立ては、ウルムチ市公安局により、7月5日の事件以降行の方不明者の捜査案件として割り振られている。しかしウルムチ市公安局はその他全ての政府組織と共に、虚偽の情報を発表したり、行方不明者の家族に対して一切の情報の提供を拒絶している。

更に全ての階級の政府高官と警察官は、行方不明者の家族や友人に対し、これ以上彼らの調査をしないようにしきりに要求している。これについて、大切な人々が行方不明になった家族と友人は、国家当局に反抗して調査を続けたり、ラジオ・フリー・アジア等外国のメディアと連絡をとることによって、嫌がらせをされ、尋問を受け、逮捕されている。

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